給与から引かれるもの

給与明細に並ぶ項目を、ひとつずつ「何が・いくら・なぜ」で説明します。 料率は 2026 年・東京都のものです。シミュレータの内訳に出てくる行と対応しています。

引かれるものは 2 種類ある

給与から引かれるのは社会保険料です。 性格がまったく違います。

社会保険料を先に計算するのは、それが税の控除になるからです。 順番を入れ替えると税額が変わります。

社会保険料

健康保険

医療費の自己負担を 3 割に抑えるための保険です。料率は都道府県ごとに違います。 協会けんぽが支部(都道府県)単位で決めているためで、2026 年の東京都は 9.85%。これを会社と半分ずつ負担するので、本人が払うのは 4.925% です。

勤め先が健康保険組合(組合健保)の場合は、料率も負担割合も組合ごとに違います。 規約で事業主の負担を折半より厚くできる(健康保険法 162 条)ため、 都道府県による差より大きく動くことがあります。

厚生年金保険

18.3%。全国一律です。2004 年の改正で段階的に引き上げられ、 2017 年 9 月に 18.3% に達してから固定されています。折半なので本人は 9.15%。

標準報酬月額に上限があるため、一定の年収を超えると保険料は増えません。 高収入の人ほど年収に対する社会保険料の割合が下がるのはこれが理由です。

雇用保険

失業したときの給付などに充てられます。労使で率が違うのがこの保険の特徴で、 2026 年は本人 0.5%、会社 0.85%。 健康保険や厚生年金と違い、標準報酬月額ではなく実際の賃金にかかります。

介護保険

40 歳から 64 歳まで、健康保険料と一緒に引かれます。 2026 年は 1.62%、折半で本人 0.81%。

65 歳からは第 1 号被保険者になり、給与から天引きされなくなります (年金からの徴収や個別納付に切り替わります)。シミュレータが 64 歳までしか 扱っていないのはこのためです。

子ども・子育て支援金

2026 年から始まった負担で、0.23%(折半で本人 0.115%)。 医療保険料に上乗せして徴収されます。新しい項目なので、 給与明細を見比べて「増えている」と気づく人が多いはずです。

所得税

課税所得に応じて 5% から 45% までの 7 段階。 段階が上がっても、上がった分の税率がかかるのは超えた部分だけです (年収が 1 円増えて税率区分が変わっても、手取りが減ることはありません)。

さらに復興特別所得税として所得税額の 2.1% が上乗せされます。 2013 年から 2037 年までの措置です。

住民税

所得に比例する所得割 10%(都道府県 4% + 市区町村 6%)と、 所得にかかわらず定額の均等割があります。均等割は 都道府県 1,000 円+市区町村 3,000 円の年 4,000 円です。

住民税は前年の所得に対してかかります。今年の 6 月から引かれているのは 去年の所得に対する住民税です。だから年収が下がった翌年は、手取りがさらに苦しくなります。

森林環境税(これは国税)

1,000 円。均等割と一緒に徴収されるので住民税の一部に見えますが、 これは国税です。2024 年度から始まりました。 住民税の均等割 4,000 円と合わせて、定額部分は年 5,000 円になります。

会社が払っているぶん

給与明細には出てきませんが、会社はあなたのために別途お金を払っています。 折半のもの(健康保険・厚生年金・介護保険・子ども・子育て支援金)に加えて、 会社だけが払うものがあります。

項目 料率 負担
雇用保険 0.85% 会社(本人は 0.5%)
労災保険 0.3% 全額を会社
子ども・子育て拠出金 0.36% 全額を会社

労災保険の料率は業種で変わります。上の 0.3% は「その他の各種事業」のもので、 建設業や林業ではこれより高くなります。

これらを足したものが、シミュレータが出す「会社が払っている総額」です。 あなたの年収より 15% ほど大きい額になります。

賞与は別枠で計算される

社会保険料は、月給と賞与に別々にかかります。賞与にかかる分は 「標準賞与額」という区切りで計算され、上限が別に決まっています

厚生年金の上限は支給 1 回あたりなので、 同じ総額でも回数で保険料が変わります。 200 万円を 1 回で受け取ると 150 万円分しか保険料がかからず、 100 万円を 2 回に分けると全額に保険料がかかります。 シミュレータが賞与の額と回数を別々に入力させるのはこのためです。

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