手取りはこの 30 年でどう変わったか

同じ年収でも、制度が変われば手取りは変わります。 年収 500 万円・単身・40 歳未満・東京都という条件を固定して、 1995 年から 2026 年までの各年の制度で計算した結果を並べます。

結論:減ったのは税ではない

年収 500 万円の手取りは、31 年で 87,632 円 減りました。

1995 年 2026 年
手取り 4,029,776 3,942,144 −87,632
社会保険料 627,624 723,156 +95,532
342,600 334,700 −7,900

税は減っています。増えたのは社会保険料で、その額は 手取りの減少分より大きい 95,532 円です。 「税が上がって手取りが減った」という実感とは、原因が違います。

節目の年

手取り 手取り率 その年に起きたこと
1995 4,029,776 80.6% 収録の開始年。厚生年金は 16.5%
2000 4,020,980 80.4% 介護保険が始まる(0.6%)
2003 4,092,008 81.8% 総報酬制。賞与にも保険料がかかる代わりに月給分の料率が下がる
2006 3,928,004 78.6% 定率減税の廃止。税が 1 年で 13 万円増える
2010 3,958,612 79.2% 健康保険料率が都道府県別になる(東京都 9.32%)
2018 3,904,180 78.1% 厚生年金が 18.3% で止まる。14 年続いた引き上げの終わり
2023 3,900,420 78.0% 収録期間で手取りが最も少ない年。森林環境税が始まる
2026 3,942,144 78.8% 基礎控除の引き上げで税が下がる。子ども・子育て支援金が始まる

社会保険料に何が起きたか

厚生年金:14 年かけて引き上げられた

16.5% から 18.3% へ。2004 年の年金改革で、毎年 0.354 ポイントずつ 引き上げることが決まりました。2018 年に 18.3% に達し、それ以降は動いていません。 手取りの減少で最も大きいのがこれです。

途中の 2003 年に料率が 17.35% から 13.58% へ下がって見えますが、 負担が減ったわけではありません。総報酬制が始まり、 それまで保険料のかからなかった賞与にもかかるようになった代わりに、 月給にかける料率を下げたためです。賞与のある人の負担は増えました。

介護保険:2000 年に無かったものが増えた

2000 年に 0.6% で始まり、2026 年は 1.62% です。 40 歳から 64 歳の人だけが負担します。1995 年の給与明細にはこの行がありません。

健康保険:2010 年から都道府県で違う

2009 年までは全国一律でした。2010 年に協会けんぽが支部(都道府県) 単位で料率を決める方式に変わり、東京都は 9.32% から始まって 2026 年は 9.85% です。

子ども・子育て支援金:2026 年に加わった

0.23%。2026 年から医療保険料に上乗せして徴収されます。 いちばん新しい負担です。

雇用保険:上がったり下がったりする

本人負担は 0.4%(1995 年)から 0.7%(2003 年)まで上がり、0.3%(2017 年)まで下がって、 2026 年は 0.5% です。積立金の残高と雇用情勢で毎年見直されるので、 一方向には動きません。

税に何が起きたか

2006 年:定率減税の廃止

1999 年から続いていた所得税・住民税の定率減税が段階的に廃止され、 1 年で税が約 13 万円増えました。 この 31 年で税が最も大きく動いた年です。

2013 年:復興特別所得税

所得税額に 2.1% が上乗せされました。2037 年までの措置です。 同じ年に住民税の均等割も 4,000 円から 5,000 円へ上がっています (復興のための上乗せで、2023 年分まで)。

2023 年:森林環境税に置き換わる

均等割の上乗せ 1,000 円が終わり、代わりに森林環境税 1,000 円が 始まりました。これは国税ですが、均等割と一緒に徴収されるため 合計額は 5,000 円のまま変わりません。

2026 年:基礎控除の引き上げ

基礎控除が引き上げられ、年収 500 万円では税が 約 3 万円下がりました。同時に子ども・子育て支援金が始まったため、 手取りの増加は 27,620 円にとどまります。

会社の負担も増えている

あなたの手取りが 87,632 円減ったあいだ、会社が払う総額は増えています。 年収 500 万円に対して、1995 年は 5,680,532 円、2026 年は 5,773,352 円。92,820 円増えました。

会社が払った総額のうち手取りとして残る割合は 70.9% から 68.3% へ下がりました。 会社の支出が増え、本人の手取りが減っているという関係です。 差の分は社会保険料として制度に入っています。

自分の年収で確かめる

ここに並べたのは年収 500 万円の場合です。 年収帯によって変化の大きさは違います。 社会保険料には上限があるため、高い年収帯では料率の引き上げの影響が小さくなります。

シミュレータで自分の年収を入れると、2026 年の制度での手取りが出ます。

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